木という素材

呼吸する素材木が呼吸する素材だという事は、よく言われることですが、これは木のどういう性質を言うのでしょう。地面に根を生やし、すっくと立っているとき、木は根から水分を吸い上げたり、葉から養分を得たり、運んだりする活動をするために、たくさんの管からできています。その他に、木のしっかりとした姿を構成するための繊維質があります。これらの管や繊維は、木が材木になった時に伸縮する部分になります。水分を吸ったり吐いたりするためのゆとりの部分です。

木を切ったときにできる木口は、その管や繊維の切り口になり、顕微鏡で見てみると無数の穴が開いているのがわかります。このような凹凸のある表面は広大な表面積を持つという事です。木が呼吸する素材であり、空気中の湿度を調節する事ができるのは、この表面積の広さのお陰です。ですから、木の表面を樹脂で塗装してしまうと、穴がふさがれ、繊維が動かなくなり、この呼吸ができなくなります。それはもはや木とは呼べない、静電気を起こすプラスティックと同じ表面を持つ素材になってしまうのです。

木の組織

木の伸び縮みは、狂いや暴れと呼ばれ嫌われますが、実はこれは優れた特性なのです。伸縮する場所はすなわちゆとりであり、それがあるからこそ木は呼吸できるのです。木の性質をよく知り、上手に付き合いさえすれば、その性質を生かすことができます。無垢の木の家や家具は、人間と同じように呼吸する頼もしいパートナーなのです。

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温度をゆっくり伝える素材また、木は温度の変化をゆっくりと伝える性質を持っています。鉄のフライパンを熱すると、焼けて素手では持てなくなりますが、木の持ち手がついているので、容易に料理する事ができます。木の持ち手が鉄の熱を長い時間をかけてゆっくりと伝えるので、安心してフライパンを持てるのです。我々人間の体は、急激な温度変化を好みません。無垢の木の壁の中にいると、体の熱を奪われる事なく快適に過ごす事ができます。

住む人に負担を掛けない、自然な呼吸ができる、居心地のよい室内気候は、自然素材に囲まれてこそ、実現するのです。

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